第8集

情報提供室

このページは糖尿病である私の体験から得た医療に対する教訓と、現代医学が持つ
問題点を摘出すると共に、新しい医療情報を適切に提供するこを主旨としております。

情報 第8集(No71~No80) 目次

No71: 我が身の病気は自己管理で治療する!?
No72: 人は歯をもって命とする故に…!?
No73: 骨粗鬆症に新しい治療法!?
No74: 患者中心から患者がリードする医療へ !?
No75: 1日1合未満の飲酒で脳梗塞4割減 !?
No76: 内視鏡手術の腕前、学会が審査 !?
No77: 病院版「適マーク」認定取り消しも !?
No78: 運転免許並みの医師免許更新制を!?
No79: 医師という職業に博士号が必要か!?
No80: 医療に信頼おけない層の増加どう見る

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2004/05/20(木)No71:我が身の病気は自己管理で治療する!?

17日の朝方に意識障害で卒倒する事故が発生しました。原因は2年前に夜間の排尿でトイレに行こうとして、意識障害で卒倒して右大腿部骨折する事故にって以来、夜間の排尿は自室で机に掴って尿瓶に排尿しております。当日の状況は机に掴って排尿を始めた頃に、頭に異常が起り「いかん」と想った時には意識が無くなり、そのまま前のめりに倒れ机の上のPCに額と鼻を強く打ちつけて、その後に床に転倒して行きましたが暫く意識はありませんでした。

この病状は自立性神経障害による「起立性低血圧」と言う、平常血圧の人が寝た状態から急に起き上がると、頭の血液が急激に下部に流れ込んで行くため貧血状態になります。今回の病症は急激に起きた病変でありませんので、入院などの緊急性はありません。只、暫く発症がなかったのですが、今月の始めに発症して2度目の発症で、また危険な状態に病状が進行しているこtとを懸念しておりました。

私は平成6年に「末梢神経障害による体幹機能障害」で、身体障害3級が認定されていることは、既にこの日記でも書き込みしておりますので、多くの方はご存知だと思います。更に平成11年に「末期的神経障害」と診断されて、車椅子の使用を義務付けられ要介護2級が認定されております。

一般に糖尿病の合併症とは、1)末梢神経障害による知覚神経損傷で、足の切傷や火傷などの放置から潰瘍を起こし壊死して切断する。2)網膜剥離を起こして手術が遅れると失明する。3)腎臓の濾過機能が衰退して自力で血液の浄化不能になり人工透析を行う。これを糖尿病の三大合併症として皆さんもご存知ですね。

私のようにこれらの合併症を乗り越えて無傷の人間でも、神経障害は糖尿病を長年患っていると、体の体幹機能が経年と共に低下して行きます。上記の三大合併症は自己管理に徹していれば、発生することを予防または早期治療で、最悪の状態を回避できます。只、この自己管理が如何に困難な管理かは、糖尿病患者にこれらの疾患で障害者になっている方が、多いか皆さんが見聞なさっておられます。

然し、体幹機能につては体の全ての分野に影響を及ぼしており、心臓や肝臓などの臓器の障害や、脳梗塞や心筋梗塞などの血管障害のように、特定の個所の疾患ではありません。体幹機能は神経機能ですので足や手などが健全であっても、自由に動かしたり使用することが出来ない機能障害です。この種の神経障害には脊髄損傷や脳梗塞による半身不随など、多くの障害がありはすが現代医学では充分な治療方法は解明されておらず、予防する方法はありません。

神経障害の中でも自律神経障害は中枢機能ですので、一度機能が冒されると回復することはないと言われております。そのため様々な病状が現れて来ますが、それぞれに治療方法が異なります。更に問題なのは医師の判断が異なることです。恐らく10人の医師に診て貰って何人の医師が同じ診断結果を出すか、単一疾患と異なり診方によっては当然違う所見もありますので、今は主治医を信頼することしか道はありません。

今回の症状の再発は私にとっては来るべき処まで来たかと言う感じです。今迄に何十回となく卒倒の発症がありましたが、大きな事故に至らず何時かは骨折や脳障害を招く危険性を予感しておりました。それが一昨年の大腿部骨折を招き、放置出来る問題でないと思い主治医と何度も話し合いました。私はセカンドオピニオンを要望して、昨年末に名古屋の大学病院に転院しましたが、結果は以前にも報告しましたように、当初の思惑とは違う結果になり元の病院に復院いたしました。

このような経緯があり主治医も私の病状を深刻に受け止めておられ、現在の医学ではこれ以上の治療方法は報告されておらず。今後どのように対応すべきか指導することは困難であること、それと私が現状のような生活様式で過ごしていることが驚きであり、他の患者であればよくて病床での生活になっており、悪くすればもう逝
っている状態であるので、非常に驚くべき生命力だと評価されております。

これは一にもニにも私自身の気力が病気に勝っているからだと思います。それと自分の病気を知り自己管理に轍することで、我が身を病気から守る術を心得ているからだと思います。まだまだ気力も活力も衰えておりませんので、この先何年も生き
続けることが出来ると確信しております。そのためにも皆様とこうして楽天日記を通して交流できることが、多くの知識を得てそれを活用することは、大きな活力源になっております。

最後に病院サイドでは主治医は現在の身障者3級は病状に適応されていないので、
2級に引き上げるべく診断書の提出を行うことと、介護保険の2級を3級に上げることを検討しており、昨日市役所から関係書類を受領してきました。只、認定医師が診断書を書いたからと言って、それが確実に認定されると言う保証はありません。提出された診断書に基ずき県の障害審査委員会で、審査されて結果が判定されます。

只、介護用品については現状の等級でも変わりがありませんので、昨日医療機器販売店が見えてカタログから、出来る限り夜間に体を動かさないで済むように、電動
ベットのリース契約と自動採尿器(ポータブル便器より小型で軽便です)の購入(1割負担)をすることにしました。今は我が身は自己管理で治療することが最大の効果だと思っております。

《最後までお読み下さいまして有り難うございます》
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2004/05/27(木)No72:人は歯をもって命とする故に…!?

「人は歯をもって命とする故に、歯という文字はよわい(齢)ともよむ也。歯固はよわいをかたむるこころなり」と、貝原益軒の「日本歳時記」にある。長寿を願って正月三が日に鏡餅や大根、押しアユ、猪(しし)肉などを供する儀礼「歯固」の説明である。

もっとも今、歯固めといえば、赤ちゃんの歯の生え初めにしゃぶらせるおもちゃしか思い浮かべないママやパパが多かろう。こちらは歯ぐきがむずがゆくなる時期に与え、健康な歯が生えるようにする親心がこめられる。

それに先立ち、生後100日ごろに行われる「お食い初め」も歯固めと呼ばれた。
食べるまねをする料理とともに石が置かれたのは、石をもかじれる丈夫な歯が生えることを願ってのおまじないである。子の健やかな成長への願いを、生え出る歯に重ねる思いは、いつの世も変わらないはずだ。

ところが今やその子供らの歯の健康状態が、児童虐待の早期発見の手掛かりにな
っているという。親から十分な食事を与えられなかったり、放りっぱなしにされていた子供には、未処置のむし歯が異常に多いというデータが歯科医の調査ではっきりしたからだ。やりきれない話だが、まずは子供の保護が最優先だ。

閉ざされた家庭内で虐待を受ける子供らの悲惨は、人生を襲う他のあらゆる試練にもまして過酷である。この世に生まれて最初に経験する世界が自分を無視し、さいなむものだったとすれば、子供らはどうすればいいのか。そのSOSを歯から読み取る歯科医らの取り組みが注目されるゆえんだ。

歯固めに長寿や子の幸せへの祈りを託した昔の人々は、過酷な境遇が歯に表れることを知っていたのだろうか。「歯をもって命」とみる知恵を、今の親たちもしっかりかみしめたい。。
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2004/06/03(木)No73:骨粗鬆症に新しい治療法!?

閉経後の女性や高齢者に多い骨粗鬆症(こつそしょうしょう)。もろくなった背骨がつぶれてしまう脊椎椎体(せきついついたい)圧迫骨折は代表的な症状ですが、かつては「治らない加齢現象」と見なされ、痛み止めの服用と安静、コルセットの着用という保存的な治療が中心でした。しかし近年、その重大性が見直され、新しい治療法も登場しています。 

椎体とは背骨を構成する臼状の骨で、二十四個が弓なりに連なっている。これがつぶれる椎体圧迫骨折は「ちょっとした動きで激痛を伴って起こることもあるが、自然につぶれて痛みがない場合も多く、患者の三分の一しか骨折に気付かないという報告もある」と東京女子医大整形外科の加藤義治助教授は言う。だが、一つの椎体がつぶれると背骨全体のわん曲が崩れ、隣接する椎体の骨折も誘発。骨折した女性の約20%は、一年以内に次の骨折を起こすとのデータもある。

「椎体骨折は、太ももの付け根の骨折とともに寝たきりになる要因の一つ。骨折数が多いほど死亡率が高まり、死亡率も予想されていたより高い。椎体骨折は今まで考えられていた以上に重大な骨折です」と加藤助教授。椎体の後壁部分がつぶれて神経を圧迫し、歩行や排尿機能のまひを引き起こせばなおさらだ。

加藤助教授が訴えるのは、骨折の早期発見・治療。手軽で有効なのは身長測定で「健康なときに測った身長から二センチぐらい低くなったら要注意」という。治療面では骨折の続発を抑える骨吸収抑制剤「ビスホスホネート製剤」の進化がめざましい。「しかし、服用から三カ月以内は効果が出ず、軽い骨粗鬆症では効き目も少ないという問題点もある。食道や胃腸に副作用もあるので、服用には注意が必要です」。運動やカルシウムを多く含む食事など日常的な予防策も大切だ。

◇骨セメントの注入法も登場◇

つぶれた椎体に「骨セメント」と呼ばれるアクリル系の樹脂を注入する新手の治療法が一部の病院で試みられている。「経皮椎体形成術」と呼ばれ一九八四年、フランスの医師団が開発し、九〇年代後半、米国で普及した。聖路加国際病院(東京都中央区)では、米国でこれを習得した沼口雄治放射線科部長が、二年で六十例弱を手がけてきた。

「この手術は発症から一カ月以内のずきずき痛む椎体骨折に有効だが、内部が壊死(えし)や空洞状態の、数年たった骨折にも効くことが分かってきた」と沼口部長。手術を受けた患者の八割が、術後一週間以内に痛みが薄れたり、取れたという。寝たきりになりかけていた患者がつえをついて歩けるようになったり、椎体の高さが増し、曲がった背骨が矯正した例も。

手術は、エックス線透視台に腹ばいになった患者の背中に、局所麻酔の上、直径数ミリの中空の針を刺し、どろどろに溶かした骨セメントを注入する。手術は一椎体の場合、一時間余りで完了。通常は術後三-四日で退院する。

医療保険はまだ適用されていないため、同病院では手術費用は病院が持ち出し、入院費だけ請求している。症例を増やし、国内での治療の標準を確立するためだ。また、金沢大付属病院は、がん転移患者の疼痛(とうつう)緩和と骨粗鬆症患者向けに七年前から同手術を導入。昨年七月、国の高度先進医療の指定を受け、費用は九万五千円程度(入院・診断費は除く)ですむ。
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2004/06/10(木)No74:患者中心から患者がリードする医療へ !?

慢性疾患に苦しむ患者が、医師らの支援を受けながら自分で検査値の目標などを立てるなどして自己管理を地域の患者同士で行う取り組みを、日本製薬工業協会は今年度から、国内の患者会に対し普及・支援していくことになった。

支援するのは「セルフマネジメント」と呼ばれる取り組みで、それに詳しく日米での看護師経験がある近藤房恵さん(サミュエルメリット大学看護学部助教授=カリフォルニア州)は、「患者中心の医療」から「患者がリードする保健医療」に変える可能性があると指摘する。

製薬協によると、セルフマネジメントは米国の医療機関や海外10カ国以上で導入され、英国ではNHSが国民健康政策の一つとして取り入れられている。製薬協は2月、近藤助教授、患者会とともに米国で視察してきた。

近藤助教授が3日、都内で開かれた製薬協のセミナーで説明によると、セルフマネジメントは患者の積極的な予防,治療への参画を支援するプログラム。医師ら医療従事者、保健関係者の支援を受けながら、患者自らが検査値などの目標を定したり、それを改善するアクションプランを作成したり、フォローアップをしたりする。

この取り組みで有名な米国スタンフォード大学のプログラムでは、10人程度のグループで毎週2時間半を6週間、トレーニングを受けた患者がリーダーになって指導を行う。服薬管理など治療や対症療法のほか、疾病を患うことに伴う患者の精神的な悩みや、人間関係の変化、生活の変化に伴う不安に対処できる技術を身につけ、アクションプランに基づいて実践していくのだという。

「慢性疾患ケアの一環」でサービスは医療だけでなく、保健サービスも利用するのが特徴だ。 近藤助教授は、成功のカギは「自らの病気に対する知識を増やし、自分が望むことをはっきり知り、伝え、自らの決定に責任を持てるようにすること」と指摘している。
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2004/06/17(木)No75:1日1合未満の飲酒で脳梗塞4割減 !?

「日本酒を1日平均1合未満(ビールなら大瓶1本未満)飲む」習慣の中年男性は「時々飲む」人に比べ、脳梗塞(こうそく)の発症率が4割少ないことが、厚生労働省研究班(班長・津金昌一郎:国立がんセンター予防研究部長)の調査でわかった。左党には都合がいい結果にも見えるが、それ以上飲むと出血性脳卒中の発症率が増え、飲酒のメリットを帳消しにしてしまう。「酒は適量に」が改めて裏付けられた。

研究班は90年に岩手、長野など4県で生活習慣アンケートに答えた40~59歳(当時)の人のうち男性約2万人がその後、脳卒中を発症したかどうかや、死亡した場合の原因を11年間追跡した。 その結果、脳の血管が詰まる脳梗塞についてみると、習慣的に飲酒している人(週1~2日から毎日まで)の場合、1日の平均飲酒量が1合未満の3410人は、時々飲む(月1~3回程度)2133人に比べ、発症率が0.61倍にとどまった。1合を超えている人でも、時々飲む人とほとんど変わらなかった。

しかし、脳内やクモ膜下で血管が破れる出血性脳卒中の発症は、1日1合未満でも、時々飲む人の1.83倍で、酒量が多くなるにつれて高くなった。アルコールには血液を固まりにくくさせる性質があるので、脳梗塞を減らし、出血性脳卒中を増やすと考えられる。 両方を合わせた全脳卒中の発症率は、習慣的に飲む人の場合、1日1合未満であれば、時々飲む人とほぼ差がない。が、1日3合以上になると、出血性脳卒中の増加が脳梗塞の減少を上回り、時々飲む人の1.64倍になった。

同じ追跡調査では、がんなども含む全死亡率と飲酒の関係も調べた。やはり、習慣的に飲酒していても1日平均1合未満の人が死亡率が最低だった。 研究班の磯博康・筑波大教授は「脳卒中に関しては、飲酒はプラスにもマイナスにもなる。1日3合以上の飲酒は勧められないことが、はっきりした。ほかの病気も考慮すれば1合未満が望ましい」と話している。
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2004/06/25(金)No76:内視鏡手術の腕前、学会が審査 !?

患者が死亡する事故が続いた内視鏡手術に対する社会の信頼を取り戻すため、日本内視鏡外科学会は医師の腕前を審査して認定する制度を今月から始める。一部の専門学会で類似制度がスタートしているが、内視鏡手術全体を網羅する審査は初めて。

手術の腕前を審査する制度は世界的にも珍しい、という。 実績のある医師らが技術審査委員会を作り、応募した医師の手術ビデオなどをもとに採点する。十五日発行の学会誌で制度の詳細を公表、認定の募集を始める。

同学会の山川達郎技術認定制度委員長(帝京大名誉教授)は「基準を厳しくしたため認定数は当面少ないだろうが、今後は認定医が手術に立ち会うことが望ましい。未熟さによる手術ミスは許されない」と話している。

制度は、体表に開けた小さな穴から内視鏡を挿入して行う手術が対象。認定を希望する医師は、自分が行った手術の未編集ビデオや手術実績一覧表などを提出し、消化器・一般外科、呼吸器外科、泌尿器科、産科婦人科、整形外科の五領域ごとに委員会が審査する。

審査基準は領域ごとに異なるが(1)器具の使用方法は適切か(2)切開、縫合が正確に行われているか(3)助手の動きと良く連携しているか―などをビデオをもとに採点し、書類審査と合わせて判定する。

内視鏡手術の事故には、昭和大藤が丘病院(横浜市青葉区)で2002年、誤って膵臓を傷つけられた患者が死亡した例や、東京慈恵会医大青戸病院(東京都葛飾区)で同年、経験不足の医師が誤って患者の静脈を傷つけ死亡させた例などがある
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2004/07/01(木)No77:病院版「適マーク」認定取り消しも !?

医療の質や、安全を確保するための院内体制が一定水準に達しているかを審査・認定している「日本医療機能評価機構」(東京都)は7月から、重大医療事故を起こした病院に原因の分析結果や対策を含め45日以内に報告するよう義務付け、対策が不十分と判断した場合に認定を取り消す処置を導入する。

制度の信頼性を高めることで認定制度をより浸透させる狙いで、29日に開く理事会で正式決定する。 報告では、事故の経過のほか安全管理委員会の開催状況や医師、看護師ら職員への教育研修内容、安全対策マニュアル、患者・家族への説明状況、当面の再発防止策などを書面で提出させる。

同機構は、病院が認定時に申告した安全対策を緩めていなかったか、学会などが繰り返し警告しているのと同様のミスはないか、再発防止策は有効かなど、組織的な安全体制に不備がないかを中心に評価。問題がある場合は、認定証の取り消し(返還)や、約3カ月の猶予期間を与えて改善を迫る「条件付き認定」へ格下げなどの処分を決める。

事故の隠蔽(いんぺい)や重大事故の繰り返しは、猶予なく処分するという。これまで、重大事故を起こした病院から相談を受けて、個別に認定の返上を受けた例はあるが、制度としての取り消し処分はなかった。 取り消し処分の導入で、未認定の病院が申請をためらうなど逆効果を生む恐れもあるため、処分内容は当面公表しないという。

病院の「適」マークとも言える認定制度は、認定の有無を病院選びの目安にしてもらおうと、国や日本医師会の肝いりで97年に始まった。これまでに全国9000余の病院のうち約1300が申請により認定され、審査中や審査待ちの病院をあわせると2300になるが、まだ十分に浸透していないのが現状だ。
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2004/07/08(木)No78:運転免許並みの医師免許更新制を!?
 
道路交通法は自動車等の運転免許に関し、免許更新制を採用し、更新時に適性検査のほかに、講習を受けること(再教育)を義務づけている。また法令違反者に対する免許停止の際の受講義務も定めている。自動車運転が道路における交通の危険すなわち人身への危害を生じさせるおそれがあるからである。

医師免許制は医業を行うためのものだ。医業は、医師の医学的判断や技術をもって行うのでなければ人体に危害を及ぼすおそれのある医行為を、反復継続することとされている。しかし、日本には医師免許の更新制度や免許停止の際の講習制度もない。

ところで、米国調査によれば、年間4万4000~9万8000人もの患者が医療ミスで死亡し、その規模は年間の交通事故死4万人を上回るとされている。日本でも欧米の調査と比較して、年間2~3万人の医療ミス死があるのではないかと推測されている。

この数は年間8000人台の交通事故死の約3倍に相当することになる。道路より病院の方が数倍危険なのである。自動車運転免許には更新制度や免許停止時の講習があるにもかかわらず、なぜか、医師免許には、このような制度がない。

そもそも医療行為は、本来的に危険なものであるが故に免許制度が導入され、医学の祖とされる2500年前の「ヒポクラテスの誓い」以来、「無害」であるべきだとされてきた。しかるに、日本の現代医療制度は医療安全管理の視点を最近まで欠いてきたのである。

医療事故・過誤は、医療従事者の個人的知識・技能や注意能力の問題のみならず,診療体制の不備、製薬等の医療産業の安全体質、更には医療制度の欠陥等、複合的要因によって引き起こされている。然し、患者の安全を水際で確保するためには医師の資質が最後の頼りであることもまた事実である。

このような医師の医療安全管理に関する資質は、卒前医学教育と国家試験のみならず、卒後研修、免許更新制をも柱とする生涯教育、更には免許停止期間中の再教育制度等々、万全の体制をもって確保される必要がある。

近年、厚生労働省は免許に対する行政処分(取り消し、停止)の運用を拡大しようと試みている。一方で行政処分対象者を刑事罰を受けた者に限定せずに拡大し、他方で被処分者に対し再教育を実施することの検討を開始した。

少なくとも、自動車運転免許並みに、医療過誤事案や医療関連法規に関する重大な法令違反を犯した医師に対しては、医療安全再教育を前提とした免許停止処分手続きが不可欠である。
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2004/07/22(木)No79:医師という職業に博士号が必要か!?

◇要る?医学博士号・・・・研究偏重の名残、「現場に無関係」の声

「足の裏にくっついたごはん粒」。何の例えかお分かりだろうか。「医学博士号」のことだそうだ。多くの医師が博士号を持っているため「取らないと気持ちが悪い」のだが、収入には影響しないので「取っても食えない」という訳だ。「言葉だけの資格なら、臨床の現場に必要ない」。

博士号には大学院に入って取得する「課程博士」と、働きながら論文を提出して取得する「論文博士」の2種類がある。大学医学部には研究、教育、臨床という三つの役割がある。論文を書いて博士号を取り、早く助手、講師、助教授、教授と進むのが出世の道。勝ち残った人が学生を教育するため、どうしても研究が重視されがちだ。かつては国立病院の部長になるには博士号が必要という事情もあった。

ところが、今年から臨床研修が必修化され、多くの研修医が大学を離れ一般病院で研修するようになった。亀田総合病院(千葉県鴨川市)の西野洋・総合診療教育部長は「大学は研究に偏っていた。博士号をもらうためだけの研究も多かった。でも博士号を持っているからといって、患者を診る能力に優れるわけではない」と指摘する。

では、博士号取得を目指す医師はどう考えているのか。「学位取得は科学者としてのものの考え方を学ぶため。はく付けのためだけだったら、大学院の4年間はあまりに長い」博士号を取得するのは、順調に行って3年後、医学部を卒業して7年目になる。大学院に通いながら、大学病院で手術や外来をこなし、他病院でのアルバイトで生計を支える。経済的にも肉体的にも厳しい毎日だ。

「医学部の6年間は臨床医としての知識を身につけるだけで精いっぱい。将来、理学部、工学部出身の研究者と一緒に仕事をするようになった時、科学者として太刀打ちできない。博士号を取ることは、臨床だけをやっていたのでは見えてこないものを発見するために重要」と考えのが一般的。

広がる「卒業前取得」に研究と臨床の二分化が進む。医学部卒業前に博士号を先にとる教育コースを新設する大学が増えている。博士号が本当に必要な研究者を目指す学生に、科学者としてのセンスを若いうちに身につけさせようという狙いだ。臨床医と医科学研究者が明確に区別されている米国にならった育成法で、5年前に導入され、国立では約30大学に広がった。

医学部4年を終えた段階で大学院に入って博士号を取り、その後、医学部に戻って医師免許を取る。今春コースを新設した東京医科歯科大は「2年間の臨床研修必修化で、医学教育は実質8年になり、早く修了しても26歳。医学・生命科学が多様化した今、研究者は20代前半の知力、体力が充実した時期に訓練を積まないと世界のレベルに対応できない」と説明する。

同大の初年度の進学者は4人。2人が臨床医学、基礎医学と社会医学が各1人ずつだ。少数精鋭で医科学研究をリードする人材育成を目指す。医学部に入った全員が博士号を取る時代ではない。「自分がどういう方向性で医療に携わるかを見極め、博士号を取るかどうか決めればよい」と話す。若いうちに博士号を取り医科学研究を究める医師と、博士号に捕われず臨床に専念する医師との二分化が進みそうだ。
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2004/07/29(木)No80:医療に信頼おけない層の増加どう見る!?

内閣府が全国の成人3000人を対象に実施した。安全・安心に関する特別世論調査の結果、日本は安全・安心な国ではないと感じる層の4割強が「医療に信頼がおけない」と回答、犯罪やテロの恐怖とともに、医療に対する不信感が社会不安の大きな要因の一つであることが明らかになった。

この調査は内閣府政府広報室が今年6月に実施したもので、有効回答者数は2136人(71.2%)だった。「今の日本は安全・安心な国か」という問いに対し、「そう思う」が39.1%だったのに対して「そう思わない」が55.9%を占め、安全・安心に対する否定的な見方が肯定を上回った。「そう思う」と答えた理由の1位は「社会が安定している」で42.9%、第2位が「平和」で42.3%、3位が「犯罪が少ない」の29%で、上述の「医療の充実」の24.4%は第4位を占めた。

これに対して、「日本は安全・安心とは思わない」と答えた人が挙げた理由の第1位は、「少年非行、ひきこもり、自殺などの社会問題の多発」。以下、「犯罪多発」「経済的不安」「国際情勢、平和」に次いで、「医療事故の発生など医療に信頼がおけない」とする回答が43.0%で第5位を占めた。

一方、社会の安全や安心にとって懸念されることのうち、周囲で増えたと感じることとしては、第1位が「情緒不安定な人、すぐキレル人」で41.0%を占めたほか、「児童虐待、家庭内暴力」が26.1%、「うつ病」が22.1%、「不登校やひきこもり」が19.3%など、精神疾患や対人関係に問題を抱えるケースが上位を占めていた。

一般に日本人は、世論調査で自国や自国民に対する評価が低い傾向がある。又、この調査自体、テロ対策などの強化を推進している政府の世論誘導の目的も見え隠れする。しかし、こうした点を差し引いても、日本国民が自国の治安や社会基盤に対し、かつてはなかった不安を抱き始めていることを示しているようだ。

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